不動産投資は節税にも便利
バブル期のように急激に経済が成長する時期には、不動産への投資が活発になります。
逆に言うと不動産の売買が活発になってくると、それだけで国の経済が活性化するということにもなります。
不動産の売買というと普通は自分や家族が住むために使用する戸建て住宅やマンションを思い浮かべますが、そうした利用目的が全くないにもかかわらず多くの物件が売買されるということもよくあります。
これは余剰資産がある場合、他の投資先へ投資をするよりも不動産として購入しておくことで大きな節税効果を得ることができるからです。
かつては税金対策のために都内の高層マンションをいくつも所有していた資産家もいましたが、当時そもそも居住を目的としないデザイナーズマンションも数多く建築をされました。
現在ではそうしたマンションの不良債権化が大きな問題となっているところですが、それでも節税対策としての不動産物件売買そのものは続いています。
なぜ不動産物件が節税効果になるかというと所有している不動産物件では賃貸収入を計算することになるためで、このときに固定資産税や修繕費、減価償却費といった経費を賃貸収入から差し引いて総額がマイナスのときには税務上の「赤字」として計上することができるからです。
税務上の赤字になると給与収入として受け取っている金額で計算される所得税で軽減措置を受けることができるようになるため税金の還付を受取ることができます。
この総額を計算して単に預貯金として資産を持っているよりも不動産として所有した方がお得という場合には複数のマンションを購入することを選ぶ人がいるというわけです。
いよいよメスが入る「タワマン節税」とは?
2015年2月に大きく報道されたのが「タワマン節税」の廃止です。
タワマン節税とは多額の資産を有する親族が亡くなった場合に受け取る相続財産にかかる相続税を減らすための方法の一つで、都内ではかなり多く使用をされてきた方法でした。
特に2014年1月には相続税率が大きく引き上げられてしまったこともあり、不動産コンサルタントやフィナンシャルプランナーも積極的にこのタワマン節税を勧めてきました。
タワマン節税の簡単なしくみを説明すると、マンションを売買するときには一般的に流通している同様の物件の価格と比較をして額が決定しますが、固定資産として税金の計算をするときには一般の流通価格ではなくあくまでも公的な評価額によって価値の計算が行われます。
都内などの物件では特にこの評価額と実際の売買価格の差が著しく、問題となったケースなどでは実売価格は3億円相当であったところ、評価額は6千万円程度として計算がされていました。
つまり資産を持っていた人が亡くなった場合、その資産が現金として手元にあったときには3億円として算出されるところ、あらかじめマンションを購入しておけば6千万円として算出をされることになります。
このケースでは相続税の算出が終わった直後に再びマンションを売却していて、再び3億円程度の現金に替えていたということも問題視されました。
これまではこうしたタワマン節税は暗黙の了解として業界の常識的な手法だったのですが、ここまで極端な例が出てきたということから今後は厳しく国税局のメスが入れられることになります。